イベント / EVENT
平成29年度 第4回 Q&A
第4回 2017年10月18日(水)
動きをデザインする科学
-制御屋さんのモノの見方と考え方-
講演当日に頂いたご質問への回答(全29件)
※回答が可能な質問のみ掲載しています。
スライド資料P.43の電気ケトルがフィードバック制御とはどういう制御ですか?
お湯が沸いたら、そのことを感知して、スイッチが切れるように制御されています。
技術の進歩と理論の進歩を紹介頂きましたが実応用では
・制御の精密化、高精度化
・制御する対象・種類の拡大
の2方向あると思いますが、理論が複雑すぎたり、計算量が多くなりすぎたりして、うまく現実のシステムにあてはめられなかったりしないものでしょうか?
理論が複雑すぎたり、計算量が多くなりすぎたりすることはありますので、適用しやすいように軽量化や簡略化の研究が進められます。
今の最先端の制御理論で扱いきれないものはあるのでしょうか?
そうした扱いきれない問題を解決できるように、理論は日々進展しています。
目的に対して最短時間でとか、最小エネルギーで、といった制約がかわると、問題の解き方は変わったりするのでしょうか?
解き方というよりは、問題の定式化が変わります。
「安定」以外の制御の効率はどう設計しますか?
評価指標のことだと思いますが、例えばPID制御では、オーバーシュートや立ち上がり時間などは制御パラメータを調整することで改善することを目指します。
自動車の複雑なシステムだと、入力・出力や中間の装置が複雑に絡みあい構造を持っています。そのような構造があるシステムの制御、あるいはシステム自体の設計はどうするのですか?
部分部分で小さな制御器を組み合わせていくことになります。全体のシステム設計はシステムの専門家と共同で行うことになると思います。
モデリングはどの程度、簡単にすればよいのでしょうか?ケースバイケースとのことですが、典型的な例を教えてください。
よくあるのは、非線形なシステムを線形近似することです。例えば、台車の上に乗った倒立振子を頂点で安定化させようという問題を考える時、振子の角度を頂点周りで線形化して制御器を設計するというのはよく見かけます。
「モデルの本質を掴む」ことが出来ているかどうかは、どうやって評価するのですか?
「モデル」の本質ではなく、「プラント」の本質のことをおっしゃっていると理解して回答しますと、物理法則や実験から評価することになります。ボード線図などがよく使われます。
岸田先生が現在どのような研究をなさっているのか、また面白いところ、難しいところを教えてください。
最近はネットワークを介した制御に関する問題に取り組んでいます。
フィードバック制御で、安定な系にすると、動きが遅くなりますが、速くするには、制御するものを小さく、軽くするしか方法は無いのでしょうか?
確かに速応性と安定性は相反することが多いですね。ただ、速応性と軽く小さくすることとは必ずしも一致しません。例としては旅客機(安定性が高い)と戦闘機(速応性が高い)がありますが、翼の形が違います。
以前「フィードフォワード」という語句を聞きましたが、モデル予測制御と同じでしょうか?
フィードフォワード制御とモデル予測制御は別物です。人によって定義が多少違ったりしますが、フィードフォワード制御は開ループ制御の一種で、外乱が分かっている時、入力の決定にその情報を使うものです。
岸田先生は制御のどこに魅力を感じて研究されているのでしょうか?
色々な対象を見ることができるところと、数学を使って理論を組み立てていくところです。
「調速機」って何ですか?
機械の回転などの運動の速度を調節する仕組みです。
「ロバスト」って何ですか?
頑強さとも訳されます。不確かさがあってもきちんと機能するように設計されている状態を指します。
岸田先生は制御屋さんですか?
制御屋さんです。
インターネットを介した空調設備制御をしようと試みています。そんなに急速な制御をしようとしているわけではないのですが、従来の同じビル内に空調制御システムが閉じている場合と同じ制御がなかなかうまくできません。インターネット上のデータ通信の遅れ、不達、制御状態の不一致とかいろんなことがおこります。 質問は、インターネットを間にはさんだ制御システムを実現するためのコツや留意点のようなものがあれば、お教え頂けますでしょうか?
通信の遅れ、不達などを考慮した制御設計は現在盛んに研究されている課題です。インターネットを間に挟む時はセキュリティも気になりますね。
先生の研究内容をわかりやすく紹介してください。
こちらで紹介していますので、ご覧ください。https://www.nii.ac.jp/faculty/informatics/kishida_masako/ https://www.nii.ac.jp/seeds/2017kishida.html
制御にAI的(ディープラーニング)な考え方を取り入れていますか?
取り入れられつつあります。国内では最近、日立の研究が雑誌の表紙で紹介されていました。 http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/00140/00004/?rt=nocnt
カルマンフィルタはどの様に使われているか?ノイズが関係しているというが、どういう意味ですか?
カルマンフィルタは、ノイズなどの誤差がある観測値から、実際の動的システムの状態を推定する手法です。応用例としてはカーナビなどがあります。
P.I.P係数の自動設定はどのように行われるのですか?
PIDのオートチューニングのことだと思いますが、基本的には様々なパラメータの値をテストして決定します。古典的な方法としては、ジーグラ・ニコルスによるステップ応答から決める方法などがあり、それらをベースにしていることが多いと思います。
気候変動は制御可能ですか?変数もよくわからないし、モデル化も大変そうですが・・・。
局地的な気象制御は出来なくもない気がしますが、大域的には大変そうですね。でも、オゾン層の破壊の原因のフロンガスの排出を抑えてオゾンホールを小さくするとか、温室効果ガスの排出を抑えて気温の上昇を防ぐというのも、制御と言えます。
フィードバック制御において、NFB(負帰還)とPFB(正帰還)を同時にかける制御システムはあるのでしょうか?あるとすればどのようなシステムなのでしょうか?
生物系のシステムであるらしいですが、詳しくわかりません。
自然界や生命現象の制御は、熱力学の基本原理であるエントロピー最大化(もしくは局所的な極大化?)に従っていると考えれば良いのでしょうか?
いえ、むしろエントロピーが増大しないようにするのが制御です。
電車の発車時や停止時などに起こる不快なあおり現象(カックン)を無くすためにはどのような制御方式が最適なのでしょうか?理屈の上では加速度の時間変化量、すなわり速度の3段微分である「加加速度(ジャーク)」を一定値に制御すれば良いように思えるのですがどうなのでしょうか?
あれ、嫌ですよね。おっしゃる通りだと思います。ジャークを小さくすると乗り心地が良くなるそうです。
むかし「おりこうファジイ制御」の洗濯機などがありましたがどうなってしまったのでしょうか?
私も気になります。
安定判別法方程式を解かずにどのように判別できるか具体的に知りたいです。
講演の中での短く紹介しましたが、特性方程式の全ての根の実部が負であれば、微分方程式の解はゼロに収束します。ですので、特性方程式の根の実部の符号をチェックすればいいのですが、それは、特性方程式の係数の関係性をチェックすることでわかります。その方法をラウスやフルヴィッツが提案しました。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%AE%9A%E5%88%A4%E5%88%A5%E6%B3%95
ノバート・ウィーナーの「サイバネティクス」理論のような有機的(生物学的?)フィードバックシステムの考え方は、どのように評価、あるいは応用されているのでしょうか?制御工学への影響など、お分かりになる範囲でお考えをお聞かせいただければ幸いです。
生物的であっても、機械的であっても、フィードバックの仕組みは同じようなものであるというのが、サイバネティクスの考え方となっています。
JR関係者ですが「新幹線運行管理システム」とか列車制御は、フィードバック制御とは別の意味で使っています。お調べください。
そうですね。広い意味でのフィードバック制御の考え方が使われているということでご紹介しました。
制御屋さんという表現は、私の感覚ではPICのように思いますが、すべての制御を統一的に捉えようしているのですか? (文系の人間なのでピント外れかもしれませんが) 制御という計測自動制御、細胞制御、行動制御、生体制御・・・とあります。扱いが広すぎて、制御屋さんのものの見方がいまいちわからないのですが・・・。
制御理論を研究している人たちは、自分たちのことを制御屋さんというので、そのまま使いました。
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