平成30年度 市民講座 SINET特別セッション(1) リポート - イベント - 国立情報学研究所 / National Institute of Informatics

イベント / EVENT

平成30年度 市民講座 SINET特別セッション(1) リポート

IoTを活用したユニークな放牧管理システムを紹介
後藤 貴文 鹿児島大学教授が講義

市民講座 SINET特別セッション 第1回

 国立情報学研究所は11月30日、学術情報ネットワーク「SINET5」を活用した最先端の研究を紹介する「市民講座 SINET特別セッション」第1回を開催しました。

 SINET5は、国立情報学研究所が構築・運⽤する情報通信ネットワークで、⽇本全国の⼤学や研究機関の研究・教育活動を支えています。現在900近くの⼤学や研究機関などが加⼊しており、国内の全都道府県を 100Gbps の超⾼速ネットワークで結び、先進的なネットワーク利用環境を研究者や学生に提供しています。

 このたび、新たなサービスとして、SINET5とモバイル通信を直結した「広域データ収集基盤」の提供を開始します。このサービスでは、これまで有線のネットワーク回線では接続できなかった広範囲のエリアや立ち入り禁止地域、海上などの遠隔地で、民間モバイルキャリアが提供するモバイル網を活用し、研究データを取得することができるため、IoT関連研究など幅広い分野の研究の進展が期待できます。

 今回のSINET特別セッションは、これから、広域データ収集基盤を利活用するための実証実験に参加する研究グループの中から、ユニークな研究を取り上げ、広く一般の方々にご紹介するという企画です。

 第1回は、鹿児島大学 農水産獣医学域農学系 農学部農業生産科学科の後藤 貴文教授をお招きし、「IoT放牧管理システムで牛肉生産 -スマートフォンで牛を飼う?!-」と題して、後藤教授が取り組む次世代型牛肉生産システムや日本の畜産の未来についてお話いただきました。

 日本では通常、牛は牛舎の中で大量の穀物を給与され、牛舎の中だけで飼養されていますが、1頭あたり5トンにのぼる穀物飼料の90%以上を輸入に頼っていること、また、糞尿による土壌・地下水汚染が進んでいることなど多くの問題があります。そこで、後藤教授らの研究グループは、草食動物である牛を、国内の未利用な土地、中山間地域、山地等で放牧活用し、その植物資源から牛肉を生産するシステムの構築をめざしています。 牛は自由に歩き回るため、広大な面積での牛の管理が必要となります。そこで、それを省力化・効率化するために、スマートフォンによる遠隔給餌システムや測位システムの構築、行動センシングなどのほか、体内埋め込み型のセンサーにより、家畜の健康状態やお産のタイミングなどを把握する研究を行っています。

 後藤教授は、「SINETの広域データ収集基盤を活用すれば、わざわざ牛のところに行かなくてもモバイル網で定期的にセンサーデータを収集することができる」として、IoTを活用して、放牧を基盤とした畜産ビジネスのしくみをつくり、日本の畜産が抱えるさまざまな課題の解決に取り組んでいきたいと展望を語りました。

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shimin 2018-report_sinet1 page3784

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