研究シーズ2020情報基盤科学

クラウド環境を自動構築・再現性確保
技術者育成や人手不足の解決めざす

合田 憲人アーキテクチャ科学研究系 教授

研究分野クラウドコンピューティング/計算機運用技術/学術情報基盤

クラウドを活用した教育研究環境を誰もがすぐに構築できるよう、ソフトウェアのインストールやネットワーク設定の簡素化をはじめ、基盤技術の研究開発に取り組んでいます。研究成果は、NIIのサービスとして大学・研究機関に提供しています。

研究背景・目的

クラウドを利用することにより、教員や研究者はサーバやストレージ等の計算資源を自ら設置・運用する必要がなくなり、迅速かつ簡単に利用できるようになりました。しかし、これらの計算資源を活用するためには、自らの教育研究に必要なソフトウェアのインストールや、大学・研究機関とクラウドを安全かつ高速に接続するネットワークの設定が必要です。これらの環境構築は依然として高いスキルと時間を要する作業で、多くの教員や研究者にとってクラウドの活用を難しくする障壁となっていました。私たちの研究グループでは、誰もがすぐにクラウドを活用した教育研究環境を構築できるようにするための基盤技術の研究開発に取り組むとともに、研究成果をNIIのサービスとして大学・研究機関に提供する活動を進めています。

研究内容

クラウドの環境構築を容易にするために、ソフトウェアやネットワークの設定が記述されたテンプレートを用いて、自動的に環境を構築するミドルウェアであるVCP(Virtual Cloud Provider)を開発しています(図1)。また、利用するクラウドや環境構築を実施する作業者が異なっても同一の環境を再現して構築するために、LC4RI(Literate Computing for Reproducible Infrastructure)と呼ばれる技術の研究開発を進めています(図2)。LC4RIでは、環境構築に必要なあらゆる手順をJupyter Notebookという形式で文書化し、この文書(Notebook)を複数の作業者間で共有・改編することを可能としており、VCPのテンプレートもLC4RIを用いて作成されています。

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図1 VCPを活用した学認クラウドオンデマンド構築サービス

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図2 レジリエンスを育てる自動化

産業応用の可能性

クラウドの環境構築を自動化する技術は、教育研究だけでなく、産業利用のためのクラウド環境構築にもそのまま利用可能です。一般に利用するクラウドによって環境構築のためのインタフェースが異なりますが、VCPでは異なるクラウドに対して統一的なインタフェースで環境を構築することが可能であり、ベンダロックインを解消して異なるクラウドに同じ環境を再現する手段としても期待できます。また、LC4RIにより計算機環境の構築手順を共有することは、例えば熟練技術者が作成したNotebookを若手技術者がお手本として利用する等、技術者の育成や人手不足の解決にも役立ちます。

研究者の発明

❖クラウド基盤研究開発センターの成果(学認クラウドオンデマンド構築サービス 過去のハンズオン教材)
https://nii-gakunin-cloud.github.io/

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